電気屋さん必見!EV充電器(スタンドタイプ)の基礎工事のやり方!

今回は近年急速に普及拡大しているEV充電器の基礎工事(普通充電器)の施工方法を紹介したいと思います。

記事を書こうと思ったきっかけは、周りの電気工事店さんから「自社で基礎工事をしたいがどうやって施工したらいいか分からない」と言った声が多かったのと、実際に色々なEV充電器スタンドの基礎工事を見てかなり雑な素人施工も散見できたので記事を書こうと思いました。

EV充電器の基礎工事のやり方

EV充電器スタンドの基礎工事自体は特段難しい工事ではありません。

どちらかと言えばコンクリート下やアスファルト下への埋設工事の方が難易度は高く自社で施工できる電気工事店さんの方が少ないと思います。

基礎工事は施工方法によって必要な道具や材料が違ってくるだけで多くの電気工事店さんは自社でも施工可能です・・・多分。

ちなみに今回紹介する基礎工事内容はEV補助金を見据えた内容になっています。

補助金絡みでは無い場合、基本的に施主様か元請さんの希望に沿えばOKだと思いますので記事内容は気にしなくても大丈夫です。

逆に補助金を利用してのEV充電器スタンドを設置する場合は充電設備メーカーが「取り付け作業指示書」等で指示する充電設備等本体の基礎サイズの仕様を満たしていること。となっていますので必ず充電設備メーカーの仕様書を確認しましょう。

このメーカーの仕様を守れていない施工店が非常に多かったです。

また近年ではメーカー推奨の基礎なども販売されているので各メーカーに確認するのもいいでしょう。

まずは基礎のサイズを確認!

メーカーの仕様書に記載されている基礎は当たり前ですが各メーカーの各充電設備によって違います。

弊社では3種類位のEV充電器スタンドの基礎工事を施工しましたが、偶然にも仕様書に記載されていたサイズは全て同じ500mm角の高さ600mmでした。

仕様書にこのように大きさが記載されています。

500mm角×H600mmで仕様書に記載されていても一部メーカーによっては、数値はあくまで参考数値で基礎の規定は無いと言われる場合もあります。

恐らくこの参考数値で規定無いなら何でもいいよね?の発想からメーカー仕様から大幅に外れた基礎工事をする施工店が増えたんだと思います。

基礎の強度はコンクリートの重さと土圧によって決まりますのでサイズが小さければ土圧も減り強度も落ちます。結構見かけたのが400角×H400(高さは推定)で施工している所です。流石に補助金絡みでは無いと信じたいですが、このサイズだとちょっと重量的に軽すぎます。

簡単に計算してみると、

  • 400角×H400=約147㎏
  • 500角×H500=約287㎏
  • 500角×H600=約345㎏

上記の通りたった10cmの違いで重さは倍近く変わります。当然受ける土圧も変わります。

EV充電器は小さな看板位の面積がありますので重量147㎏の基礎だと風圧によって基礎周りの土がおされて時間経過と共にグラついてくる可能性が高いです。

以上の事から参考数値とメーカーに言われても基本的には仕様書に沿ったサイズの基礎を据え付けるように心がけましょう。

補助金を利用する場合、メーカー仕様と違う大きさの基礎を使うのであれば各メーカーや補助金を申請する自治体、各省庁などに必ず確認をいれましょう。

コンクリート直打ちの場合

まずは自社で施工する場合、多くの電気工事店さんが行うであろうコンクリートを直で打つ場合の施工方法を説明したいと思います。

コンクリート直打ちのメリットデメリット

まずはメリットですが、直打ちのメリットは材料費が二次製品よりも若干安くすみ、重機などを必要としないので費用を抑えて施工できます。

自社で重機を所有している場合やユニックなどのクレーン車両を所有している場合はコンクリート二次製品を使った方が個人的にはおすすめです。

後施工アンカーではなく、先にボルトを仕込む事もできます。

デメリットは重機を使わない前提の場合、人力で掘削もしてコンクリートを練らなければならず、その分人件費が多くなり、手練りの場合コンクリートの強度不足とコンクリートの養生期間が必須の為に工期が長くなる事です。

ちなみにミキサー車を呼んだ場合は生コンの量が少ないために材料費が高騰し一番高くつきます。意外と知られていませんが、生コンを注文する場合は量が少ないほど色々な項目が付いて割高になります。

コンクリート直打ち基礎の施工手順

施工内容は大まかに以下の通り

  • 墨出し
  • カッター入れ、削り
  • 掘削
  • 生コン打設
  • 養生
  • アンカー

墨出しは生コンを直接流し込むので仮に500角×H600の基礎だった場合は500mmの真角でOK!

設置場所がアスファルトやコンクリートの場合はカッターを入れて掘削していきましょう!アスファルトの下などは地面がめちゃくちゃ固まっているので削り機やツルハシなどでほぐしながら掘る事をおすすめします。

掘削時の注意点としては開口を基礎の大きさにした場合は垂直に掘りきる事です。深さが60cmもあると、どうしても人間の手で掘り進めていくと底に向かって小さくなりなりがちですので注意しましょう!

生コンを手練りする場合500角×H600の生コンの量は0.15m3になりますので大体ですが、ちょっと少なめの一輪車5.6杯分位になります。

一見少なそうに思えますが0.15m3を、ちゃんとした配合で手練りすると鬼の辛さです。よほどの体力バカでも無い限り、一日で2基分などはきついので人間は多めに必要になってきます。

注意点1は手練りの場合コンクリートの強度が弱くなりがちな事です。と言うよりほとんどの場合、強度はとれていないと思います。

天候や配合うんぬんは置いといて、最大の強度不足の原因はセメントを練る際に水が多くなりがちな事です。土木のプロでも練るのが大変で水を多く入れてしまって過水になりがちです。

水の量の目安はセメント量(重さ)の半分が目安になります。セメント一袋(25kg)に対して水は13ℓ位になります。硬化後にアンカーを打つので(先にボルトを仕込むのもあり)強度不足でアンカーが効かない場合は打ち直しになってしまうので水の量は気をつけましょう!

注意点2はバイブレータかけて無いとこ多すぎ問題です。

生コンを直打ちする場合は絶対にバイブレータをかけてください。周りの土が落ちてくるからとか関係なく100%かけた方がいいです。

バイブレータの画像

掘削した穴の隅々までコンクリートを充填するのは当然として、バイブレータをかけないとコンククリート内に気泡が100%残ります強度も弱くなります。バイブレータはリース屋さんでレンタルも出来るので絶対かけましょう!

注意点3は開口部は1cmでもいいので地面より高くしましょう。たまに看板用ポールや充電器本体の基礎で地面より下に設置しているのを見かけます。

結論から言うと「あり得ない素人工事丸出し」です。

公共事業などで街頭や看板用ポールの設置をする場合は、劣化や腐食はコンクリートまたは地面との接合部からおこりますので、基礎を据えるのにわざわざ水が溜まるように低くする事は絶対にあり得ません。

当然EV充電器スタンド本体も同じ事ですので、生コンを流す際に桟木などで開口部を囲い少し高めに仕上げましょう。フラットに仕上げた場合でもコンクリートは硬化する際に縮むので水が溜まる可能性が高くなるので地面より高くしましょう。

生コンを打設した場合は必ず養生期間を設けましょう。

アンカーを打つ場合、真夏のカンカン照りだったとしても最低48時間以上は養生しましょう。当然冬場ならもっと養生期間が必要になります。

コンクリートは表面から硬化していくので見て触って大丈夫!の判断は絶対してはいけません。

アンカーを打つ際はメーカーによってアンカーボルトの埋め込み深さの仕様が異なるので注意が必要です!仕様書を必ず確認しましょう。

アンカーはステンレス製のオールアンカーかケミカルアンカーを仕様すると思いますが、コンクリート直打ちの場合は上記にも記載したように素人施工になりがちなので強度不足などを考慮するとケミカルアンカーの方がおすすめです。

直打ちの場合は、アンカーを使わず先にボルトを仕込んでおくこともできます。状況に応じて使い分ける事をおすすめします。

コンクリート二次製品を使った施工

次にコンクリート二次製品を使った基礎工事の施工方法を説明していきます。まずはコンクリート二次製品についての説明ですが、コンクリート製造工場などで作られるU字溝やブロック基礎などのをコンクリート二次製品と言います。

工場で作られるので基本的に生コンの配合や強度などは完璧ですのでコンクリート直打ちと違い天候や強度不足などの心配は不要です。

コンクリート二次製品を使った施工のメリットデメリット

まずはメリットですが上記にも書いたように天候や強度不足などの心配はありません。

施行性も良く掘削後に据えつけアンカーを打つだけなのでコンクリート直打ちと違い、養生期間も必要なく工期も大幅に短縮できるのが最大のメリットです。

ユンボ(バックホウ)などで据付る場合はカッター入れなども考慮しても2基分で半日程で据付可能です。

デメリットに関しては値段です。材料費や重機をレンタルする場合に掛かる費用などを考慮すると人力での基礎施工よりも費用は割高になりがちです。

またEV充電器用の基礎サイズ(例えば500角×H600)の二次製品を現状既製品として作っている工場がほぼ皆無の為に500角×H600などの基礎が必要な場合は、二次製品屋さんに特注で発注をかけなければなりません。

特注の場合は型枠から作るので必然的に割高になります。制作期間も大体3週間近く(工場によります)かかるので、すぐに手に入らないのもデメリットとなります。基礎1個あたりの費用に関してはかなり曖昧になりますが、特注品の場合おそらく運賃込みで1個あたり2〜3万円位だと思います。

二次製品を使う場合でもEVメーカー側が500角×H500で仕様上OKな場合は話が大きく変わってきます。500角×H500の大きさであれば、ほぼ全ての二次製品屋さんで現行商品(穴ありタイプ)として作っているので現行の型枠を利用して穴無し仕様にするだけなので、製作も容易になり特注品と比べかなり安く入手できます。

大量発注や自分で引き取りに行く場合は当然割引されるので発注先に聞いてみましょう。弊社は二次製品屋さんではありませんが、弊社に問い合わせしていただいても構いません。

さらに500角×H600サイズだと約345㎏の重さになりますので重機かユニックなどのクレーン車両が必要になってきます。

ですが補助金案件の場合は基礎・据付工事の項目に充電設備設置にかかる重機のレンタル費、回送費(損料含む)と記載されているので補助金を利用する場合はコンクリート二次製品を使った施工の方が仕上がりや強度等を考えてもおすすめです。

コンクリート二次製品を使った施工手順

施工手順は以下の流れ

  • 墨出し
  • カッター入れ、削り
  • 掘削
  • 据付
  • アンカー

墨出しは二次製品を使う場合は少し(5cm位)大きめにしましょう。

ピッタリサイズの開口部にしてしまうと施工性が悪くなるので少し大きめにカッターをいれる必要があります。カッター入れはコンクリート直打ちと変わりませんがユンボ(バックホウ)がある場合、掘削をして据付けるだけなので作業スピードが断然早いです。

掘削→据付までおそらく1基2時間前後もあれば施工可能です。当然、養生期間も必要ありません。

アンカーも二次製品であればオールアンカーでもケミカルアンカーでも問題なく施工できます。

注意点としては掘削時に既設の埋設管が埋まっていないか注意する事と、据付作業時にコンクリート製品を垂直水平に据付する事です。

掘削後に穴床に水を加えていないモルタル(カラねり)を敷くと据付作業が楽になります。

二次製品を使った施工については【全国対応】EV充電充電器(普通充電器)の基礎工事をしてきました!EV充電スタンドの基礎工事はお任せください!をご覧ください。

アンカーを使った施工

EV充電器の基礎工事の中で最も工期や工程が短く、施工費も一番安くすませる事ができるのがアンカー施工です。

アンカーを使った施工のメリットデメリット

まずはアンカー施工のメリットですが基本的にコンクリートに電動ドリルなどで穿孔してアンカーを打ち込むだけなので作業スピードが他の基礎と比べ恐ろしく早いです。

1基30分もあればアンカー基礎は施工できるでしょう。

さらに一人で施工でき、人件費以外にかかる費用もアンカーの材料費のみなので他の基礎工事に比べ断然安く施工できます。

なのでアンカー施工が可能な現場はアンカーを使って施工するのが一番いいです。

デメリットは施工可能な現場が少ない事です。

EV充電器の設置場所は駐車場が多いと思いますが、アンカー施工ができる駐車場はコンクリートの駐車場でないとほぼ設置できません。

一応アスファルトに施工できるアンカーもありますがアンカー施工はおすすめしません。

理由はアスファルトの厚みの関係やアスファルトに施工した場合は、夏場だと2〜3kN位しか引張強度もでないので強度が非常に弱いのでメーカー側も了承する事はほぼありえないと思います。

なのでアンカーのみでEV充電器を設置できる場所が非常に少ないのが最大のデメリットになります。

アンカーを使った施工手順

施工手順は以下の流れ

  • 墨出し
  • 穿孔
  • アンカー

コンクリートの駐車場にアンカーを施工する場合は、コンクリートの厚みが最低10cmはないと施工できません。

どうやって判断するかですが、わざわざコア抜きなどはしないと思うので「運」になります。

ですが経験上10cm未満のコンクリート駐車場はほぼ無いので気にしなくても問題ありません。

もし墨出し後に穿孔してコンクリートを抜けてしまった場合はアンカー施工は不可能です。別の施工方法で設置するしかありません。

このよう各メーカー仕様書に記載しています。

穿孔の深さについてですが、各メーカーの仕様書に記載されているので必ず仕様書を確認しましょう!

穿孔後は必ず切粉の除去をしてください。

ケミカルアンカーを使う場合は特に念入りに除去しましょう。ブロワーやエアダスターだけでは絶対にダメです。アンカー用のブラシを使って念入りに除去しましょう。

また既存の全ての駐車場に言える事ですが、基本的に駐車場は水平には作られていません。

水を逃がすために水勾配が必ずついていると思ってください。

なのでEV充電器本体を垂直水平に設置する際に水勾配がキツい場所などはスペーサーが必要になります。

スペーサーなどの許容範囲も各メーカーの仕様書に基本的に記載されていますので確認しましょう!

各施工方法のまとめ

かなり長い記事内容になってしまったので、ここでは各施工方法の要点をまとめてみました。

工期材料費人件費
直打ち3日(養生期間含め)普通2〜4人工
二次製品半日高い2人工
アンカー2時間安い1人工
普通充電器2基分の基礎工事

上記のようにアンカーで施工できる場合は、アンカー施工が全ての項目で一番いいです。アンカーで施工可能であればアンカー施工一択しかないとも言えます。

また材料費に関してですが、自社で重機などを所有していない場合はリース費なども含めると2次製品での施工が一番高くつきます。

工期に関しては間違いなく直打ちが1番長くなり、人件費も基本的に1番高くなります。人件費によっては2次製品施工よりも高くつく場合も多々あります。

基礎強度については二次製品が1番強く、次いでアンカー、最後に直打ちとなります。

以上の事からアンカーでの施工が不可能な場合は、工期に余裕があり自社で人間も余っている場合は直打ちでの施工を選択し、工期に余裕がないか人件費を抑えなければならない場合は、2次製品を使った施工をするのがいいでしょう。

弊社でもEV充電器の基礎工事やコンクリートやアスファルトへの埋設工事を日本全国で施工しておりますので、お気軽にご相談ください!

EV充電器スタンドの凄く大変だったFEP管埋設工事と基礎工事の話。

【全国対応】EV充電充電器(普通充電器)の基礎工事をしてきました!EV充電スタンドの基礎工事はお任せください!

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